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第147話 来ない人には聞けません

Author: 八月 猫
last update publish date: 2026-10-02 09:00:10

 二階を一通り歩いたあと、私たちは三階へ上がった。

 こちらは二階よりさらに人が少ない。

 営業している店舗もあるけれど、通路の途中に空いた区画が混じり、そのたびに人の流れが途切れているように見えた。

「一階と全然違いますね」

「同じ施設とは思えないくらいだな」

 帝人さんは周囲を見ながら、今度は図面を出さずに歩いている。

 さっき私が言ったことをちゃんと守っているらしい。

「帝人さん、あそこ」

 私は通路の端にあるベンチを指した。

 座っているのは年配の人が多い。

 買い物袋を持った人。

 休憩している人。

 話をしている人。

 でも、若い人の姿はほとんどない。

「やっぱり少ないですね」

「二十代、三十代が?」

「はい。アンケートでも来館比率そのものが落ちてるって言ってましたけど、実際に見ると分かりやすいですね」

 帝人さんが頷く。

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     二階を一通り歩いたあと、私たちは三階へ上がった。 こちらは二階よりさらに人が少ない。 営業している店舗もあるけれど、通路の途中に空いた区画が混じり、そのたびに人の流れが途切れているように見えた。「一階と全然違いますね」「同じ施設とは思えないくらいだな」 帝人さんは周囲を見ながら、今度は図面を出さずに歩いている。 さっき私が言ったことをちゃんと守っているらしい。「帝人さん、あそこ」 私は通路の端にあるベンチを指した。 座っているのは年配の人が多い。 買い物袋を持った人。 休憩している人。 話をしている人。 でも、若い人の姿はほとんどない。「やっぱり少ないですね」「二十代、三十代が?」「はい。アンケートでも来館比率そのものが落ちてるって言ってましたけど、実際に見ると分かりやすいですね」 帝人さんが頷く。「一階にはいた。だが、上には来ていない」「ってことは、施設そのものに来てない人だけじゃなくて、来てても一階で帰ってる人もいるってことですよね」「ああ。来館者数だけ見れば客がいるように見えるが、館内全体を使っているとは限らない」 帝人さんは少し先にあるエスカレーターを見る。「問題は『来るか来ないか』だけじゃない。来た客がどこまで動くかも見ないと、施設の実態は分からない」 確かにそうだ。 一階で日用品だけ買って帰る人も、三階まで回る人も、来館者数では同じ一人として数えられる。 でも、売上やテナントへの影響はまるで違う。 私は手元のメモにそのことを書き込んだ。「だったら、前に見せてもらったアンケートって、やっぱり偏りますよね」「どういう意味だ」「館内で取ってるなら、今ここに来てる人の声しか聞けないじゃないですか。特に残してほしいって答える人は、今もこの施設を使ってる人ですよね」 帝人さんが少しだけ考

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